north direction とは
アジアの南方をルーツとする稲作と共に、その多くの価値観が照葉樹林帯で育まれた日本文化。 あまりにも気候風土の異なる北海道ではそれをそのまま踏襲することが困難であるにも関わらず、 近代以降も西洋文明に助けを借りながら、決してそれを拭い去ることはしませんでした。 厳しくも豊かな自然が目の前にありながら、いつもどこかで南を意識して来た北海道の生活。 この姿勢がこの地の本当の姿を見えにくくしているように思えてなりません。 「north direction」は意識を北へ向けたときにどのような「もの」や「こと」が可能なのかを実証する試みです。
カラマツ
カラマツは日本で唯一秋になると葉を落とす落葉針葉樹です。 信州原産のカラマツは気候の似た北海道で戦後に大量に植林されました。 毎年落葉広葉樹がすべての葉を枯らした後、幹や地表があらわになった色褪せた森に、 カラマツの葉は最後の色となって黄金色に輝きます。初雪の便りと共に散らすカラマツの葉は丈夫で腐りにくく、よい香りがします。北海道では馴染み深いこの葉を使って、 何か作れないかと思い立ったのがことの始まりです。
森と人
古代から人は森に入り、木の恩恵を受けて来ました。一方で木を利用しつつも、一方で神の宿る依代としてあがめて森との信頼関係を保っていました。 産業革命を境に木はお金を生み出す単なる商材となり、人は森を伐採し尽くして都会に生活するようになりました。それは今も留まるところを知りません。都会に住む人が木の恩恵や森の記憶を失ってしまう前に、かつて時間と共にあった森と人との良好な関係を伝えたい。 そうして生まれたのが「時の森」です。
デザイナーの役割
フィンランドではデザイナーの役割が大きく、デザイナーは素材や技術の特性を見抜き、それを世の中と結ぶ重要な役目を担っていました。 北海道に戻って感じたのは、制作する職人自らデザインまで行っている現実でした。 高い技術を持ち合わせながら安価な量産品に呑まれ行く現実を目の当たりにしたのが、ものづくりを始めたきっかけでした。